ストリートビューのパノラマ画像、実はクオリティに違いがあります。

犬のフォトグラファー

「ストリートビューの撮影って、いったいどうやっているの?」

撮影現場は殆ど見る機会がないと思いますから、特別な機材や撮影方法なんだろうな〜。くらいの認識の方が殆どだと思います。

道路はGoogleが車の上に360°カメラを乗っけて走りながら撮っています。みなさんの中でも目撃した方もいるかもしれません。
Googleマップで見ていただくとわかるとおり、道路だけでなく店舗の中も見られるようになっています。昔は「インドアビュー」という名称でストリートビューとは別の扱いでしたが、何年か前からストリートビューに統一されました。ストリートビュー(屋内版)とも呼ばれているようです。

Googleストリートビューの認定を受けているフォトグラファーは多数います。Googleの定めた基準を満たす事で認定される仕組みですから、一定の基準は満たしていることになります。ただ「基準」はそれほど高くないので公開されているストリートビューのクオリティにも差がでてきてしまいます。

今回は一連の撮影、公開方法の流れを簡単に説明して、クオリティの差について解説したいと思います。

 

ストリートビュー撮影の流れ

Googleは基準を決めているだけ

Googleストリートビュー車両
Googleストリートビュー撮影車両(写真:Googleホームページより)

ストリートビュー認定を受けるためのGoogleの定めた「基準」がある事は、先に書いたとおりです。
基準に沿ったパノラマ写真を50枚以上公開することで認定されます。
簡単に要件を抜粋すると、

  • 決められた解像度以上のパノラマ写真であること。
  • ゆがみやズレのない一定のクオリティであること。
  • ポイントどうしが連結され、連結ポイントは視界が開けていること。
  • プライバシーに配慮されていること。
  • マップ上に正確に配置されていること。…などなど

もっとたくさんの基準がありますが、ストリートビューパノラマのクオリティの維持、公開情報の信憑性、プライバシーに配慮。
このあたりを守って公開してくださいという事です。

ただGoogleが目視でパノラマ写真をチェックしているとは考えにくいので、クオリティーや情報の正確性についてバラツキがあることは確かです。

グーグルストリートビュー認定プログラム

撮影、ステッチ、配置(公開)の3ステップ

撮影

一般的に撮影を請け負ってそれをビジネスにしているフォトグラファーは一眼レフを使い、AEB撮影をする事がほとんどかと思います。魚眼レンズと言われる超広角レンズを使い、東西南北4方向をアンダー、標準、オーバーの3種類の露出設定で撮影。ひとつのポイント(ポイントとは撮影地点。ストリートビューで立ち止まる地点。)につき12枚の写真が必要になります。

ステッチ作業

撮影の後にこの12枚の写真を専用のソフトで合成してパノラマ写真に仕上げます。これをステッチ作業と言います。「縫い合わせる」と言う意味ですね。

Map配置・公開

パノラマ写真をグーグルマップに専用のソフト等で公開する事になります。その際にも実際の写真とマップとの整合性(位置や方角)、ポイントどうしのつながりを微調整しながら正確に配置します。

このような流れがありますから「グーグルストリートビュー撮影」とひとことで言っても、撮影のクオリティ、ステッチ作業のクオリティ、マップ公開の正確性と言うように、複数の技術が組み合わされて仕上がりますから、各社クオリティに差が出てきてしまいます。

ビジネスでの撮影は一眼レフAEB撮影が標準

では、撮影から見ていきましょう。

AEB撮影(1方向に対して3種類の露出)するのはなぜでしょう?

それは、たとえば暗い部屋の中から非常に明るい日差しの窓を撮影したとします。
すると、

部屋の中は暗いので露出オーバーで明るく撮りたい。でも窓の外は元々明るいので外が真っ白けに。

窓の外を綺麗に見せたいので露出アンダーで撮りたい。すると窓の外は綺麗だけど、室内真っ暗。

という現象が起きます。そこで、3種類の明るさで撮影して、いいとこ取りして合成するという事になります。

魚眼レンズでも360°全方向は撮れませんから、東西南北4方向に分けてそれぞれをAEB撮影する。
4方向×3段階の明るさ=12
この12枚の写真でひとつの地点が完成します。

人間の目(正確には脳)はとても優秀で、上記のような環境下でも、暗いところは明るく、明るい所は暗めに認識・補正してAEB撮影と同じような事を意識せずに行っています。AEB撮影は人間が見ている状態に近づけるための撮影方法といえます。

高解像度の一眼レフで4方向撮影しますから、4方向合成した解像度もかなりのサイズになります。
当社の撮影ですと横11,000ピクセル以上、縦5,500ピクセル以上になります。

ちなみにRICOH THETAの解像度は最新機種でも5,376ピクセル×2688ピクセルです。
画像の面積で4倍もの開きがあります。さらにAEB撮影で人間の目と同じように見える処理を施しますから、ワンショットカメラと比べてクオリティに差がでるのは当然です。

ストリートビューのクオリティ

AEB撮影の効果実験

同じ撮影パノラマデータを使って、AEB処理をした場合と、最適露出(3段階の中間の明るさ)使った仕上がりテストをしてみます。
設定はまったく同じで12枚の画像を使ったか4枚の画像を使ったかの違いのみです。
ビフォーアフターを真ん中のスライダーを動かしてご覧ください。

AEB撮影テスト AfterAEB撮影テスト Before

←After(AEB撮影)スライダー左移動|スライダー右移動 Before(通常撮影)→

Afterの方が、外の景色の明るい部分のディティールの再現性が高くなっています。
細かい所ですが店内の黒い箱?も真っ黒に潰れずに再現されています。
明るい部分、暗い部分ともにクオリティーが高くなります。

データ量も3倍になりますが、「いいとこ取り」で画質がアップするのです。

ステッチ作業にも差が

12枚の写真を繋ぐのは写真ソフトで手作業合成……なんて到底できません。

そこは専用ソフトにお任せです。…がそのソフトは奥が深く設定も多岐にわたります。
ステッチ作業は、ソフトを使いこなす技術、経験で差がでる所です。
さすが今時のソフトですから、何も考えずに適当に設定してもある程度綺麗に出来上がります。

しかしそこで甘んじて手を抜くとそこまで。合成の設定、色調補正や合成後の後処理、三脚(撮影時の真下の部分)処理の方法など、奥深いところが実は多いのです。

パノラマ撮影時、どうしても撮影できないカメラの真下の部分。そこの処理も違いが出てくるところのひとつです。
三脚消しの作業についてGoogleで明確にこうしなさいという決まりはありませんが、重要視されない真下(足もと)とはいえ、処理が酷いと気になってしまうものです。
ビジネスによっては、床面を綺麗に見せたいという場合もあるでしょう。

三脚消去処理の例

三脚消しテスト そのままの状態
撮影したそのままの状態だと、真下(三脚の部分)は撮影できません。 さすがにこの状態だと納品できません。
三脚消しテスト 一般的な処理
一般的に多いのがこの放射状のボカシです。丸くぼかす場合もあります。丸の方が処理は簡単かと思います。
三脚消しテスト 修正後
修正した場合 今回は真下を撮影していないので、周囲の画像を使って塗り伸ばしました。
綺麗に仕上げるには、現場撮影時に三脚消し用の撮影も行わなければなりません。
今回はサンプルなので、周囲の画像をコピーして手作業でちゃちゃっと塗り伸ばしました。実際に公開する場合はもう少し丁寧に修正した方が良いでしょう。
今回はこのくらいで勘弁してください
先に説明した12枚必要となるAEB撮影処理と、合成した後の色補正、三脚消しなど1枚のパノラマを作るのに意外と技術が必要になります。

Map配置、公開

パノラマ写真データが完成すれば、公開です。

実際に撮影したパノラマデータをGoogleマップに配置し、連結させる作業となります。
撮影時は東西南北を把握して撮影を行いますから、地図上の位置方角とデータを正確に配置させて、その場所を歩くような位置で連結させていきます。
※Googleの撮影ガイドラインで、障害物や壁をすり抜ける連結はNGとなっています。

この作業も手を抜くと実際の方位と合っていなかったり、間違った連結になってしまいます。
実際にストリートビューを閲覧していると、思った場所へ移動できないという場面に出くわす時があります。

この公開作業にも数種類方法があります。当社でも3種類くらいの方法で調整・公開をしています。
Googleの仕様が変わったり、公開するソフトの対応などにも影響を受け、公開作業の技術も現在進行形と言えそうです。

以上でストリートビュー撮影から公開まで簡単に説明いたしました。
ストリートビューの閲覧方法やスマホアプリの「Googleストリートビュー」についても今後説明したいと思います。